今日は高齢者介護医療講演会
「元気で長生き」
~健康寿命を延ばしましょう~
と題して、徳島文理大学 保険福祉学部 教授・医学博士の鶯 春夫(うぐいす はるお)先生をお招きし、講演を開催しました。
会場の視聴覚室はほぼ満席に。
裏の準備室からこっそり参加。
平均寿命と健康寿命
冒頭に、日本人の平均寿命と健康寿命のお話。
平均寿命はわかるとして健康寿命って?
健康寿命は健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のこと。
2016年の時点では男性の平均寿命は80.98年に対して健康寿命が72.14年。
女性は平均寿命87.14年に対して健康寿命が74.79年。
平均寿命と健康寿命の差がけっこうありますね。
男性では8.84年。女性は12.35年となかなかのひらきです。
この健康寿命を延ばすために運動器を鍛えることの重要性が挙げられています。
ところで「ロコモ」という言葉を聞いたことがありますか?
ご飯の上にハンバーグと目玉焼きがのった・・・
という映像が脳裏をかすめたのは私だけではないはず。
ロコモティブシンドローム
「ロコモ」とは
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉で、「運動器の障害により要介護になるリスクが高まった状態」といただいた資料に記載されていました。
わかりやすく言うと、「骨や関節、筋肉といった運動器の機能が衰えてきている状態」を指しています。
運動器とは、骨・関節・靱帯・筋・腱・末梢神経・脊椎・脊髄など体を支え、動かす役割をする器官になります。
では、日常生活においてどのような事ができにくくなっていればロコモなのでしょうか。
7つのロコモチェックがありひとつでも当てはまれば要注意。
- 家の中でつまづいたり、滑ったりする
- 階段を上がるのに手すりが必要
- 15分くらい続けて歩けない
- 青信号で渡りきれない
- 片足立ちで靴下がはけない
- 2kg程度の買い物が困難
- 家の中のやや重い仕事が困難
以上7つ。
さらにイスからの立ち上がりテスト。
40㎝くらいのイスに座って、腕を胸の前で組む。
その状態で反動をつけずに立ち上がる。
これができないとロコモ度1(黄色信号)。
同じ状態で20㎝くらいのイスから立ち上がれないとロコモ度2(赤信号)だそうです。
あたなはどうですか?
7つのチェックに当てはまったり、イスから立てなかったすると要注意かもしれません。
とくに「片足立ちで靴下をはく」ですが、片足の力、バランス、膝の屈伸の3つの要素が必要なので、できない人はどれかが弱っているようです。
7つのチェックにあてはまった人や、イスから立てなかった人はどうすればいいのか。
ひとことで言うと
鍛えればいい!!
筋力は衰えていても定期的な運動を継続することによって鍛えることができます。
ただし、2,3日やって終わりでは効果がありません。
「継続」
これが最も重要なのです。
下半身を鍛えるトレーニング方法
では、どのような運動を行えばいいのでしょうか?
筋肉をきたえるためには、筋肉を損傷させる必要があり、軽い筋肉痛がでるくらいがいいそうです。
とはいっても高齢者の方やロコモチェックにあてはまる人はなかなかできないと思います。
そんな方は「開眼片足立ち訓練」をやってみてください。
右足で1分と左足で1分を1セットとして、1日3セット行ってみましょう。
これくらいでも大丈夫。
片足でバランスが取りにくい人はイスなどにつかまりましょう。
この運動で踏んばっている方の足の強化になります。
1分上げた時の足の骨への刺激は50分歩くのと同じだそうです。
1分でぜんぜん平気な人は筋力アップにならないので、足をもう少し高く上げるか、ふとももを水平にするなど、負荷を調整してください。
あと、必ず目を開けて行ってください。
目を閉じるとバランスが取りにくかったり、転倒のリスクがあります。
「開眼片足立ち訓練」なので目を開けて行ってください。
次にふとももの鍛え方、「イスからの立ちしゃがみ」
スクワットの要領で、両足は肩幅に開き、つま先は少し外側に向けます。
4秒かけてゆっくり立ち上がり、4秒かけてゆっくり座ります。
太ももの筋肉が働いていることをしっかりと意識すること。
10回程度から始めてみましょう。
10回できない人は「少しきつい」と感じたら終了しましょう。
また、膝などに痛みを感じる場合は中止してください。
立つよりも4秒かけて座るほうがキツイと思いますが、しっかり4秒かけましょう。
ふとももを鍛えることによりしりもちの予防になるそうです。
しりもちから腰の圧迫骨折など、大ケガにつながるのでふとももの筋力も大事なのだとか。
ストレッチをしよう!
運動や筋トレも大事ですが、ストレッチも大切です。
あなたはストレッチしてますか?
ストレッチはとても大切で
- 筋肉の緊張を和らげる(柔軟性の向上)
- 血液の循環を促進させる
- 筋痛を緩和させる
- 精神的にリラックスさせる
などの効果があります。
しかし、間違ったストレッチは逆効果。
息を吐きながら伸ばすのが理想的なストレッチ。
反動をつけないように、また痛みがないようにしましょう。
間違ったストレッチは逆に体を硬くします。
ストレッチを早くしたり、強くすると、筋は防御収縮がはたらいて十分に伸ばすことができないのです。
「ストレッチを行う時は息をはきながら、ゆっくりと、気持ちのいいところまで伸ばす」
意識してやってみてください。
先生から教わったストレッチ体操。
イスに座って5秒間、床に手をつけ、腰背部を伸ばす。
次に腹部を5秒伸ばします。
この動作を1セットとして3セット行いましょう。
次に側腹部のストレッチ。
こちらも左右5秒ずつ、3セット。
同じ側腹部。左右5秒の3セット。
この側腹部の左右のストレッチの時、同じくらいひねれることが理想だそうです。
右がひねりにくい人は左にくらべて硬いということですね。
数を声に出して数えると、自然と息を吐きながらできるので、1,2,3,4,5と数えてみてはいかかでしょうか。
体が硬いと筋肉もつきにくいので、運動だけの人はストレッチも取り入れて効率的に鍛えましょう。
ちょっと記事が長くなりすぎたので今日はここまで。
ほかにも認知症の話やながら体操の話もありますので、次で紹介します。
イスにすわったまま簡単にできる運動やストレッチなど、ぜひ実践してみてください。
あなたの将来のためにも!